本名・渡邊真衣被告は、インターネット上で「頂き女子りりちゃん」と名乗り、分かっている額で男性3人から現金計約1億5500万円をだまし取ったとして詐欺罪などに問われています。
また、詐欺用のマニュアルを作成し販売していました。
頂き女子りりちゃんこと渡邊真衣被告について
- どのような罪に問われているのか?
- 求刑の懲役13年、罰金1200万円は軽い?重い?
- 世間の反応
について調査しました。
ぜひ、最後までお付き合いください。
頂き女子りりちゃん詐欺などの罪で逮捕
追記:2024年4月22日名古屋地裁判決
2024年4月22日、名古屋地裁でいただき女子りりちゃん「渡辺麻衣」被告に、懲役9年の実刑、罰金800万円の判決が下りました。
22日の判決で名古屋地裁は「身勝手で刑事責任は相当重い」などとして、渡辺被告に懲役9年・罰金800万円の判決を言い渡しました。
Yahooニュース(2024/04/22)
判決を聞いた渡辺被告は、裁判長に「分かりましたね」と聞かれるとうなずいていました。
検察側は、「入れあげていたホストをナンバーワンにするための犯行で、動機は身勝手極まりない」などと主張。
朝日新聞デジタル(2024/04/22)
弁護側は、「ホストに利用された」などとして寛大な判決を求めていた。
「X」上の声の一部を集めました。
判決に対する賛否。
渡部麻衣被告に対する厳しい言葉や、才能を惜しむ言葉。
量刑に対する矛盾を指摘する声もありました。
追記は以上です。
以下、本文に戻ります。
逮捕の原因となった詐欺などの行為はどのようなものだったのか?
確認しましょう。
1.詐欺の罪
渡邊被告は、お金を出す男性を「おぢ」と呼び、恋愛感情を抱かせる手法で信用させてお金をだまし取っていました。
また、「知人から借金をし、払わなければ風俗店に体を売らなければならない」という嘘を巧みに使い、だまし取った後も放置せずに「あなたから頂いたお金でいまの私があります」とアピール。
アフターケアを欠かさなかったようです。
この巧みなアフターケアにより、ほとんどトラブルにならず、次の頂きにつなげていました。
この手法により、実際は2億円以上だまし取ったとみられています。
2.詐欺ほう助の罪
自身の経験や考察から、独自の詐欺マニュアルを作成して1部1~3万円ほど販売、詐欺の手助け(ほう助)をしたとして詐欺ほう助の罪でも起訴されています。
このマニュアルを1000人以上に販売しました。
マニュアルには、いただき女子の活動としての3ステップとして、
- 信頼関係構築
- お金を頂くための会話術
- アフターケア
を自身の経験や考察から詳しく説明しています。
「おぢ」の心をつかむ方法や、アフターフォローの会話術まで、指南書として完成度の高いものとなっていたようです。
実際にこのマニュアルを使い、名古屋市で男性2人から合計1000万円をだまし取った事件が発生しています。
3.所得税法違反の罪
さらに2021年から2年間、だまし取った金額1億1100万円を確定申告せず、4000万円を脱税したとして所得税法違反の罪にも問われています。
いただき少女りりちゃん、求刑13年は重いのか?
頂き女子りりちゃんこと渡邊真衣被告の罪状を確認し、求刑の「懲役13年、1200万円罰金」について見ていきましょう。
罪状の内訳
渡辺被告は、以下の罪に問われています。
一つずつ見ていきましょう。
詐欺の罪
- 人を欺く行為(欺罔行為)
- 被害者の錯誤
- 被害者による交付行為
- 財物または財産上の利益の移転
相手をだます意思があり、相手を誤解させ、相手の意思で金品や権利などをだまし取る行為です。
- 10年以下の懲役(刑法第246条1項)
- 罰金刑がない
詐欺幇助の罪
- 幇助行為があること
- 意図をもって故意に幇助したこと
- 正犯者が実行したこと
- 実際に犯罪を容易にしたこと
詐欺の手助けをしようと思って行動し(マニュアル販売)、実際に詐欺が行われた(名古屋の事件)。
- 15日以上5年以下の懲役(刑法第246条・刑法第63条)
- 罰金刑がない
所得税法違反の罪
- 納税義務者であること
- 偽りその他不正の行為があること
- 納税を免れ、または税の還付を受けたこと
- 偽りその他不正の行為と脱税結果のあいだに因果関係があること
- 脱税の故意があること
納税する義務があるものが、故意に税金の支払いしないこと。または、仕向けること。
- 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金またはその併科
執行猶予は適用されるのか?
執行猶予の要件は以下の通りです。
刑の執行を一定期間猶予するという制度。
3年以下の懲役刑・禁固刑、50万円以下の罰金刑の場合に、1年~5年の間、刑の全部又は一部の執行を猶予すること。
3年を超える罪に対しては適用されないことになります。
今回の事件については、2件以上の罪に問われていることから3年以下には収まらないように思われます。
求刑の「懲役13年、罰金1200万円」について
【2024年4月22日、名古屋地裁判決「懲役9年(実刑)、罰金800万円」】
追記(2022年4月22日)
今回の裁判では、検察側は「懲役13年、罰金1,200万円」の実刑を求刑しています。
まず、詐欺罪での懲役刑について。
表からもわかるように詐欺罪で懲役13年はかなり重い内容であるのがわかります。
また、詐欺罪1件では懲役10年が最長です。
2件の詐欺行為が「併合罪」として処罰されることとなった場合、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役とされているので、これの1.5倍の15年が懲役刑の上限ということになります。
「併合罪」刑法第54条より
今回はこの併合罪が適用され懲役13年の求刑となりました。
また、罰金刑についても「無申告加算税」「延滞税」といったペナルティが加算されての「1,200万円」ということになるでしょう。
なので、「懲役13年、罰金1200万円」は法定刑としては妥当な求刑となるでしょう。
いただき少女りりちゃんへの世間の反応は?
刑が「軽い」とする厳しい声から、「重すぎる」という擁護する声まで、世間の反応も様々です。
ただ今回は、詐欺だけでなく詐欺のほう助、所得税法違反(脱税行為)の罪に問われています。
また、マニュアルの販売により実際に被害が出ていることから、被害拡大を防ぐための見せしめとして重刑を望む声もあるようです。
マニュアルをもつ1000人が1,000万円の詐欺をはたらくと、100億円の被害額になります。
社会的影響も含めて13年の懲役は妥当なのか?という気にさせられます。
司法はどういう判断を下すのか!?
4月22日に名古屋地裁で判決が言い渡されます。