【企業分析】PDハウスを全国展開「㈱サンウェルズ」(9229)

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金沢を拠点にパーキンソン病専門施設「PDハウス」を中心に介護事業を展開する株式会社サンウェルズ。

今後、高齢化が進む日本で、需要はますます増えていく介護業界。

同社は、なぜパーキンソン病に特化した施設主体の運営を進めるのか?
業績や今後の事業計画を調査したうえで、将来のシナリオを描いてみました。

目次

年度別業績推移:4年連続右肩上がり成長

業績は好調で売上高・利益ともに、きれいな右肩上がり成長を続けている。
既存のPDハウスは、稼働率が95%を超えており、今後も新規施設の増設を加速させていく予定だ。

2026年3月期の予想まで出しているが、営業利益で2022年3月期の4倍以上を叩き出す予想で、かなり強気!
今後の事業拡大の余地も大きいようだ。

四半期業績推移:四半期ごとに売上・利益ともに過去最高を更新中!

2024年3月期も、1Q・2Qともに会社予想を上回る進捗状況!

2023年9月末時点(2024年度2Q発表値)で、

  • 既存PDハウスの稼働率:95%
  • 入居待ち待機者:250名超

2024年3Qは4施設、新規施設を増設予定。

今後も四半期ごとに、業績の上値更新が予想される。

財務状況:成長フェーズで新規施設への投資が主体

会社のふところ事情はどうなっているのか?
財務を見ていきましょう。

2023年3月期は、2022年3月期と比べると資産全体が大幅に増加しているのがわかります。

これは2022年に上場し、市場から資金を調達し、それを事業に転用したことによるものです。

解説:キャッシュフローとは?

各キャッシュフローも2023年10月度で大幅に増加しています。

このことから、上場後、設備投資に資金をまわし、今後の事業展開の足場を作っているものと思われます。
まだまだ、成長段階の投資ステージのため、営業CF<投資CFで、フリーCFがマイナスの年が続くこととになることでしょう。

2023年3月期以降、事業が計画通りに進行すれば、やがてフリーCFが安定的にプラスになっていくことになります。

会社概要(2023年3月)

  • 設立:2006年9月
  • 上場:2022年6月
  • 資本金:35百万円
  • ROE:25.2%
  • 従業員数:1945名(平均ねんれ 38.7歳)
  • 平均年収:461万円
  • 競合他社
    ・アンビスHD(7071)
    ・ウチヤマHD(6059)
    ・エフビー介護サービス(9220)
    など

事業内容と状況:介護施設の運営を柱とする会社

介護施設が中心。
他に、福祉用品のレンタルや販売、住宅のリフォーム事業、加圧トレーニングジムも運営している。

セグメントは介護事業の単一だが、提供サービスごとに区分けして管理されている。

サービス別四半期推移:6つのサービス区分で管理されている

サービス別、四半期ごとの売上高推移と、それぞれの内容と状況を整理しました。

パーキンソン病専門ホームを、2024年度第2四半期の時点で27施設を展開しており、同社の業績の柱と呼べる主要なサービスです。

パーキンソン病とは、世界的にも根治する治療法が確立されていない難病で、国の指定難病の一つです。
ただ、薬剤コントロールとリハビリテーションを組み合わせることで、進行を遅らせることが可能になります。

PDハウス」は、在宅では難しいリハビリテーションと重要な薬剤コントロールを24時間体制で支援しており、看取りまで対応可能な体制が整っている。
また、医療処置も施設内で行えるなど、利用者が安心して生活できる環境が整っている。

パーキンソン病や関連疾患による患者は、2021年の厚生労働省の発表で全国に推定14万人いるとされ、今後「PDハウス」の施設数の増加や、新サービスの開発と向上が期待される。

医療特化型の有料老人ホーム「太陽のプリズム」を、2023年3月末で5施設、運営している。

「太陽のプリズム」は、認知症、がん、難病の患者を対象に暮らしながら医師や看護師の医療ケアや生活支援を受けられる施設で、看護師が24時間対応可能で緊急時にも迅速に対応できる体制を確立しており、利用者が安心した暮らしを送ることができるよう、サービスを提供している。

認知症対応型共同生活介護サービスを、2023年3月末時点、2施設を運営している。

利用者が食事の支度や掃除、洗濯などをスタッフと共同で行うことで、穏やかな安定した日々が送れるように、介護サービスを提供している。

通所介護(デイサービス)を、2023年3月末で、「民家型」3施設、
「リハビリ型」3施設。
計6施設を運営している。

「民家型」は、我が家で過ごす1日をコンセプトにサービスを提供。
また、エステサービスやお泊まりデイサービスなども提供している。

「リハビリ型」は、作業療法士や理学療法士、言語視聴覚士が利用者の状態にあったリハビリプログラムを提供。
リハビリの効果を実感できるようなサービスを提供している。

福祉用具専門相談員の資格を持ったスタッフが、福祉用具のレンタル・販売や、バリアフリー工事などのリフォーム事業を展開している。
2023年3月末時点で、3事業所を展開している。

加圧トレーニングジム事業を、2023年3月期末で2施設を展開している。

事業計画:「PDハウス」を柱として成長していく。

今後も、北陸エリアのデイサービスと有料老人ホーム事業は維持しつつ、「PDハウス」を経営の中心として事業計画を立てている。

1.PDハウスのブランド構築

《パーキンソン病とパーキンソン病患者の現状》
パーキンソン病は、2021年厚生労働省の発表で、患者数が全国に推定14万人いるとされ、その中でも60歳以上が9割を占める難病指定された病気で、根治する方法が確立されていない進行性の神経難病です。
さまざまな生活障害を引き起こし、ケアにも高い専門知識と経験、技術が必要です。

薬剤療法とリハビリテーションが重要とされている。
ただ、薬剤療法も1日に10回程度分けて服用するケースもあり、また、現行の施設の多くでは十分なリハビリテーションが提供できない場合も多い。

症状が進行し重度化した場合の改善事例が非常に少なく、適切な服薬療法とリハビリテーションを行い、症状の進行を遅らせる必要がある。

《PDハウスの今後の取り組み》

  1. 全国の専門病院との連携を強化し、より効率的なサービスを創造、開発する。
  2. 病院医療機関のように専門化を図り、地域包括ケアの一端を担える事業とする。
  3. 大都市圏や中核都市を中心にさらなる事業展開を加速していく。
  4. 全国へ事業拡大にあわせて、人的資本に関する戦略も強化する。
    ① 開設地域の雇用を創出と同時に待遇の改善を行い、定着率の向上に努める。
    ② 年間休日数の増加、給与改善、キャリアパス制度の構築や評価制度の拡充。
    ③ リモートワークや時短勤務等の柔軟な働き方の推進。
    ④ 年2回実施している働きやすさ調査のスコアを注視。さらなる満足度の向上を図る。
    ⑤ 従業員からの紹介による「リファラル採用」の強化。
    ⑥ 専門医によるオンラインセミナーや事例検討会の実施により、教育面を強化する。
    以上を強化するため、2022年10月期より採用部の人員を1.4倍、教育部の人員を2.5倍に増員し、実行にあたっている。
  5. PDハウスで得たノウハウを活かし、軽度症状のパーキンソン病患者も利用できるリハビリテーションサービスの提供を計画中である。
    施設を利用できない患者にも、インターネットを使ったサービスの提供を計画している。
    更には、海外でもこのインターネットでのサービスの展開を計画中。

    事業の拡大とともに、より多くの患者を救いたいとの思いが事業計画に表れている。

自社の強み

  • 世間のニーズに対応した事業設計
  • 医療保険と介護保険を組み合わせた収益体制
  • 強気な経営姿勢と枠組みにとらわれない創造性による企業成長性
  • 市場規模の大きさ

自社の弱み

  • 人出不足が続く介護業界
  • 難病に特化した業務のための人材育成のシステム構築
  • フリーCFが赤字(黒字倒産の危険性)
  • 高い有利子負債倍率

事業拡大の機会

  • 今後、加速し続ける高齢化社会
  • 世界規模で拡大するパーキンソン病の患者数(2015年690万人から、2040年には1420万人になるという研究結果がある)
  • 新興国の発展に伴う、介護需要の増加(海外展開)
  • 専門知識や経験を活かした新たな事業展開
    たとえば、パーキンソン病患者が必要としている介護器具やシステムの設計・開発・販売を手掛けるメーカーになる。

事業拡大の脅威

  • 診療報酬および介護報酬の不利な改定による、収益率の悪化
  • 施設内感染などによる感染症の拡大
  • 類似サービスを提供する、競合他社の台頭
  • 人材獲得競争が激化することによる、人材の流出

今後の事業展開について

ポジティブとネガティブ。両面のシナリオを考えてみました。

ポジティブシナリオ

「PDハウス」の新施設増設が計画通りに進行し、利用者も予定通りに入居が進む。
また、既存施設の稼働率も90%後半を維持し、売上高・利益率ともに安定するにともない、フリーCFが黒字化する。
有利子負債倍率も下がり、経営が安定期に入る。

今まで本業で得た知識と経験、実績。
そして蓄えた利益で、介護器具やシステムの開発や製造、販売のすべてをこなすメーカーとして新たな事業を展開し、診療報酬や介護報酬だけに頼らない業態を確立していく。

さらに海外へ積極展開。
実施設やインターネットを使ったサービスで、日本だけでなく海外の患者へ救いの手を差し伸べるため、グローバル展開を進めていく。

ネガティブシナリオ

「PDハウス」を積極展開するが、介護職員の新規採用が追い付かずに人手不足の施設が増加する。
それでも計画通りに新規施設の増加を推し進め、過重労働による職員の不満がたまっていくなか、ついに介護職員による利用者への虐待が起き、世間に発覚し、社会的信頼が失墜。
また、法令の定める人員未満で運営していたことで、人員基準違反の法令違反で罰則を受ける。
社会的信用・評判を失い、利用者離れが起きる。

同時に不満のたまっていた介護職員が大量に辞職し、休業や閉鎖に追い込まれる施設が出始める。

見計らったかのように、類似サービスを提供する競合他社が台頭し、利用者とともに職員が大量に流出することになる。

起死回生の一手を繰り出せず、売上高・利益ともに過去最低水準になり、やがて経営不振企業の仲間入りを果たす。

今回の調査まとめ

  • 業績
    一言でいえば「好調」。
    計画通りの業績で推移。
    新規の施設も計画通りにすすめられている。
    今後の業績に期待したい。
  • 財務
    上場まもない成長フェーズの企業で、財務面は投資CFが大きく、フリーCFがマイナスという成長投資段階で、借金を抱えている状態。
    ただ、今後は事業計画通りの経営を続けていけば、黒字経営化も近い。

今回は、全国で「PDハウス」を展開する、株式会社サンウェルズを調査しました。

今後、ますます需要が拡大する介護業界の中で、パーキンソン病に特化した有料介護施設「PDハウス」を柱とした事業を展開。

潜在患者数も多く、拡大余地が大きい業態で、業績の伸びしろも大きい。

ただ、まだまだスタートアップ企業の同社。
同業他社の台頭や、介護職員の採用・教育、収益性の向上計画など。
課題は多い。

パーキンソン病をはじめとした難病に悩む患者やその家族に寄り添いながら、どのように安定した経営にむかうのか?
今後も見守っていきたい。


参考資料:株式会社サンウェルズ ホームページ

調査は進行中。
随時、更新していきます。

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