【企業分析】コインパーキング「タイムズ」を運営「パーク24㈱」(4666)

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コインパーキングの代名詞といえば「タイムズ」と言えるくらいに、駐車場業界では圧倒的なシェアを誇る。

近年では「タイムズカー」という、カーシェアリングとレンタカーを融合させたサービスを拡大させている。(モビリティ事業)
黄色に黒文字の「Times」と書かれたステッカーを貼った車がタイムズカーです。

郊外でもよく見かけるようになり、平日のビジネス利用だけでなく、休日にレジャーで利用する利用者数が増えていることがよくわかります。

今回はコインパーキング「タイムズ」を運営する、「パーク24㈱」について調査しました。

目次

年度別業績:コロナウイルス感染症の影響を大きく受け大幅に減収減益

2020年10月期と2021年10月期は、日本国内では、幾度かの緊急事態宣言が政府より発令された影響を受け、大幅に減収となった。

海外でも同じく、外出自粛規制の強化、規制力の強いロックダウンにより、人々の自動車利用が大幅に減少したことで業績に大きな影響を与えた。

2022年10月期はコロナ禍の影響がしだいに薄れ、3期ぶりに売上・利益ともに黒字へ転換した。

四半期別業績:2023年10月期3Q、過去最高益!

⚪︎ 2022年10月期
国内は、コロナ禍からの需要の回復とともに、売上・利益ともに回復傾向に推移。
海外では、感染者数が一時的に増えた地域もあったものの、影響は軽微で、全体としては堅調に推移した。
モビリティ事業においては、行動規制緩和が進むにつれて需要が増え、順調に推移した。

⚪︎ 2023年度1Q~3Q
コロナ禍で取り組んできた筋肉質化(不採算駐車場の削減と、採算の取れている駐車場の管理体制やコストの見直しを行うなど。余分なぜい肉のそぎ落としを行った。)が効果を発揮し出し、黒字転換し前年同期比と上回り、3Qでは過去最高益をたたきだした。

ただ、海外はコロナ禍以前より損失が続いており、各国において安定した利益化が今後の課題となる。

財務状況:コロナ禍で大きく減少した利益剰余金

2020年以降は感染症の影響による駐車場の利用者激減のため、長年蓄えていた利益剰余金を使い切りマイナスになる。

会社としても、株主資本比率(※1)が30%達成(※2)するまで無配当という発表を出しているので、直近の課題は利益剰余金の黒字化を目指すこと。
つまり、株主へ配当金を出すより先に、内部留保が最優先となる。

※1:資産総額のうち資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式の合計額(株主資本)が占める割合。パーク24は株主資本比率を株主配当の基準としている。
※2:2022年10月末時点で17.1%。会社発表では2025年10月末に30%達成を目指している。

キャッシュフローも2020年以降、営業CFが減少。
それにともなって、投資FCが減っているので「守り」に入っていたとみられる。

2023年以降は、「攻め」に転じ、徐々に営業CF・投資CFが増えてくると思われます。

解説:キャシュフローとは?

会社概要(2022年10月)

  • 設立:1973年2月
  • 上場:1997年3月(東証P)
  • 資本金:302百万円
  • ROE:8.8%
  • 従業員数:連結 5081名 子会社740名 (平均年齢:37.4歳)
  • 平均年収:565万円
  • 競合他社:日本駐車場開発、アズーム、パラカ など

事業内容と状況

グループ理念「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」をかかげ、社会の持続的発展に貢献する。

  • 駐車場の運営・管理、自動車の貸付・売買、これらの関連した事業を国内外で展開。
    国内が約75%、海外が約25%。
  • パーク24㈱と連結子会社90社で構成されている。
  • セグメントは「駐車場事業国内」「駐車場事業海外」「モビリティ事業」の3つ。
  • イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、台湾の6か国へ海外進出している。

事業別の業務内容と状況

各国ともにコロナ禍の影響が緩和し駐車場利用が増加、各事業の売上高は回復に向かっている。

《四半期推移》

「Times」ブランドで、サブリース契約、管理受託契約及び自社所有の土地を「時間貸し」や「月極」の駐車場としてサービスと提供している。

業務状況は好調!
営業利益ベースでは、2019年10月期通期(営業利益27,300百万円)を3Q経過時で上回り、コロナ禍からの回復以上の進捗で推移。

また、2025年開催の大阪・関西万博の駐車場・バスターミナルの車両管理システムの運営を受注。
大口の受注も獲得し、早くも将来業績の上振れが期待される。


海外は6か国で、サブリース契約と管理受託契約で「時間貸し」や「月極」の駐車場としてサービスを提供している。

状況としては、イギリスの戻りが鈍く、イギリス単体では2023年10月期も赤字の予想となっている。
また、海外事業ではイギリスの売上比率が50%超を占めるため、現状ではイギリスの黒字化が海外事業の黒字化のカギを握っている。

イギリス以外の国、特にアジア各国は回復が早く、イギリスの穴を埋める存在になっている。

日本国内の有人店舗および無人ステーションで、利用したい時間・期間だけクルマを借りることができる、モビリティサービス「タイムズカー」(カーシェアリングとレンタカーの融合サービス)を提供している。

また、クルマの事故や故障に対応するロードサービスも提供している。

状況として、2022年1月の感染症拡大による重点措置の影響が大きくあったものの、その後は売上・利益ともに順調に推移した。
また、「タイムズカー台数」「会員数」も増加。
2023年3Qは売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。

事業計画:人々の「快適さ」を求め、追及する。

○ 中期目標の3つの具体的数字(期限:2025年10月末まで)
1.国内駐車場100万台
2.タイムズカー10万台
3.タイムズクラブ会員1,000万人

《中期目標を達成するための課題(1)~(8)》

(1) 環境への対応
EV(電気自動車)の普及にむけて、駐車場へのEV充電器の設置を推進。
モビリティサービスにおいても、EV車の導入を推進する。

(2) 安定したサービスの提供
グループで一元管理できる運用体制の構築、品質保持のための厳格なルールの制定と十分な設備投資および人材育成と採用を推進する。

(3) 4つのネットワークの拡大

① 駐車場
国内外ともに安定的に駐車場を開発する。
また、入出庫や支払いがスムーズにできる「次世代駐車場サービス」の開発に取り組む。

② クルマ(モビリティ)
需要が拡大している「タイムズカー」の車両数・貸出拠点を拡大、今後、安定成長するためのサービス拡張を図る。

③ 街(目的地)
キャッシュレス決済サービス「タイムズペイ」の加盟店数を増やし、加盟店と利用者、両者の「快適さ」を実現し、街(目的地)のネットワークの拡大を図る。

④ 人(会員)
クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれのサービス拡大により利便性が向上。
法人・個人ともに会員の規模拡大を図る。

(4)グローバルな海外展開
現在の大型で長期契約駐車場に偏った事業から、国内同様に「小型・分散・ドミナント化(※)」をベースとした開発に転換。
リスクの低減とコスト削減を推進し、収益性の向上をねらう

また、「各国版タイムズパーキング」を推進。
各国の事情に合わせた、短期契約型駐車場の需要拡大を進める。

(※)ドミナント化:「支配的な」「優勢な」「優位に立つ」という意味。
地域を特定し、集中展開を行うことで経営効率を高める一方、シェアを拡大し、同業者の優位に立つことを狙う戦略。

(5)シームレス化:サービス間のバリアを取り除き、容易に複数サービスを利用できるようにすること。

(6)多様な人材(=人財)育成と働きがいのある環境の創出
目標達成と持続的な成長のための、多様性のある人財育成と採用に努め、および働きがいのある環境の創出に尽力する。

(7)健康経営の推進
幅広い年代の社員が、健康づくりに主体的・積極的に取り組める環境を提供し、生き生きと長く働くことができる職場環境を構築。
パフォーマンスの高い活性化された組織を作っていくことを目指す。

(8)財務の健全性強化
財務の健全性と維持・向上させることを経営の重要課題と認識し、財務目標として2025年10月期末に株主資本比率30%を目標とする。(株主配当基準)

(9)コーポレート・ガバナンスの強化
リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを徹底することで自浄能力の向上に努め、すべてのステークホルダーからの信頼を向上させる。

自社の強み

  • 業績・規模・認知度ともに業界No.1である。
  • カーシェアリングにおいて、車両数・会員数は圧倒的なシェアを誇る。
  • 利便性の高いサービスを提供している。
  • 海外展開している。

自社の弱み

  • 生産年齢人口が減少傾向にある日本国内の比率が高い。
  • 景気などの経済的変動や、緊急事態が発生した場合などの社会変動の影響を大きく受ける。
  • 地価の変動リスクがある。
  • 人為的ミス(操作ミス、整備不良など)が原因での事故が発生する確率が高い、自動車関連の事業である。

事業拡大の機会

  • 慢性的に駐車場が不足している日本国内の現状。
  • 発展途上にあるアジアの国々への新規展開と既存進出国の事業拡大の余地。
  • カーシェアリングやカーリースといった、クルマに対する新たな概念の創出と拡大の余地。
  • 駐車場やクルマを使った新たな事業展開。
    例えば、中古車を展示・販売する「Times Used Car Shop」や、遊休地や既存の駐車場を貸し切ってイベントを企画する「Times Event Products」など。

事業拡大の脅威

  • 競合他社の台頭
  • 新たな感染症の世界的な蔓延による、都市封鎖。
  • 自動車に代わる、新たな移動手段の登場。
    もしくは、新たなシステムの登場。(例えばすべての自動車の位置を把握し、自動配置できるようなシステムができれば、駐車場は不要になるかも。)

今後の事業展開シナリオとは?

上記までをふまえて、ポジティブ・ネガティブ、両面のシナリオを考えてみました。

《ポジティブシナリオ》

コロナ禍から抜け出した世界で、外出の制限もなくなり、経済活動も回復へ向かう。

企業もコロナ禍前の活況をとり戻し、得意先回りや納品で使う車を駐車するため、Timesパーキング(時間貸し・月極)を利用し、契約件数も増加する。

一般客の短期駐車利用においても、都市部や観光地がある地方で利用者が増加する。

システム面でも、シームレス化でスマホアプリとの連携強化に成功し、利便性の高い「快適さ」の備わったシステム構築により、他社との差別化に成功する。
利用者数・会員数を伸ばしていき、国内では圧倒的なシェアを誇り、同業他社を大きく突き放していく。

海外でも、「国内タイムズパーキング」の成功事例を活かした「各国版タイムズパーキング」を新規展開し、シェアをのばし、通期黒字化を達成する。

また、モビリティ事業も車の利用頻度が少ない企業や、車を持たない若者を中心に支持を拡大。
さらに新たなシステムの開発で利便性を向上させて、利用客を増やしていく。

安定した経営体制により、社内の勤務環境の健全化に着手。
健康経営の推進により、社員の満足度も向上する。

培ったノウハウや有利性を武器に、新規事業に挑戦する。

《ネガティブシナリオ》

国内、海外ともに不安定な世界経済や、度重なる社会情勢の不安から、景気の悪化を招き、経済成長が鈍化。
不況におちいる。

日本国内でも、事業撤退する企業が増加。
それにともなって、駐車場を解約する企業も増加。

賃金が上がらない国民は、旅行で観光地へ赴く余裕もなくなり、観光地で運営する不採算な駐車場の解約件数が増加。
売上が減少していく。

また、人口の減少が止まらない国内では、車の保有台数が徐々に減っていき、さらに売上・利益の減少が進む。

海外では、軌道に乗り始めていた「海外版タイムズパーキング」だったが、競合他社が類似システムにより台頭。
地域性を活かした海外競合他社に、シェアを奪われ、再び「駐車場事業海外」は赤字転換することとなる。

他のセグメントと比べて、好調なモビリティ事業だったが、Timesパーキングの縮小により、利便性を失うこととなる。
その結果、利用者数・会員数が減少し、こちらも売上・利益を伸ばせなくなる。

終わらない社会不安や不安定な経済状況がもたらした不況により、駐車場の利用客が減少の一途をただり、売上と利益を圧迫。
次第に赤字経営が続くようになる。

士気が上がらなくなった企業からは、「人財」までもが流出していくこととなる。

調査まとめ

今回は、全国でコインパーキング「タイムズ」を運営する「パーク24株式会社」を調査しました。

⚪︎ 業績
コロナ禍の影響を大きく受け、売上・利益ともに大きく減少。
2020年度と2021年度の2期連続で、赤字利益を計上し、苦しんだ。
コロナ禍の影響が緩和しだした2022年10月期は、黒字転換を果たした後、堅調に推移。
2023年10月期は、どこまで業績を伸ばせるかに注目したい。

⚪︎ 財務
こちらもコロナ禍の影響で、利益剰余金がマイナスになった。
株主資本比率30%以上を目標としており、今後の回復に注目したい。
株主も配当金の復活に期待をよせているだろう。

2020年から始まったコロナ禍の影響を大きく受け、赤字転落からの急回復をみせる同社。

中期計画では業績の回復やシステムの利便性強化だけでなく、社員が長く働ける職場環境づくりや多様性をもった人材の確保と育成という目標もかかげています。

以前から女性が働きやすい環境作りを目指したいたようですが、今後は更に職場環境の整備に力を注いでいくことでしょう。

これからも、社外、社内ともに「快適さ」を追求しつづけ、パーク24株式会社がどのように快適な社会を作っていくのか?
一国民として見守り続けようと思います。

参考資料:パーク24株式会社ホームページ

調査は進行中。
随時、更新していきます。

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