【企業分析】回転すしですべての人へおいしさと楽しさを「くら寿司」(2695)

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食品添加物を使用しない食材や、感染症対策、鮮度を保つ工夫を凝らした商品を提供し、さらには食にエンターテイメントを取り入れて客を楽しませる努力など。

お寿司を通して、食の楽しさを人々に提供している「くら寿司」。

新型コロナ感染症の後、人々の生活様式が変わり、また世界情勢の悪化で原材料高騰や円安の影響で直近は苦戦気味。
安くて美味しい「お寿司」の未来と、同社の行く末を調査しました。

目次

年度別業績推移

新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年は売上、利益がともに減少。特に利益は大幅な落ち込みが目立つ。
その後も、ロシアとウクライナの戦争により原材料費とエネルギー価格の高騰や円安の進行により苦戦を強いられている。
直近では飲食店営業が回復傾向にあることで、人材需要が拡大し、アルバイト時給が上昇、引き続き厳しい状況が続いている。

ただし、このような厳しい状況のなかでも、2023年10月期は強気の予想を出している。

四半期別業績推移

コロナ禍の収束に伴い、四半期業績推移は回復基調。

2023年第3四半期は、四半期業績として過去最高の売上高を記録し、利益も黒字化を達成

セグメント別の業績状況

《日本》

新型コロナウイルス第8波の影響や、飲食店における迷惑行為の影響を受けたが、コロナ禍の収束に伴って来店客数が回復基調である。

また、インバウンド需要の取り込みを狙った都市部の新規開店を加速させている。

ただ、エネルギー価格の高騰や円安による原材料価格の高騰により、利益面を圧迫。
創業以来続けてきた、1皿110円(税込)を115円(税込)に改定するなど価格改定を実施。商品全てにおいて適正価格を設定するなどで対応を続けている。

なお、直近の2023年第3四半期では、旬の地魚を毎週楽しめる「くらの逸品シリーズ」の本格導入や、人気バーチャルライバーグループ「にじさんじ」とのコラボレーション企画によるグッズプレゼントなどのキャンペーンで競合他店との差別化を図り、過去最高の売上を記録した

利益面でも、全四半期から大幅に黒字化し、業績好転の兆しが見えてきている。

今年度の進捗率では、売上高では予想通りで推移しているが、利益はマイナスとなっており、残り3ヶ月でどこまで巻き返せるか!に注目したい。

《北米》

新型コロナウイルス感染症の影響で、空いた優良な物件に新規出店を積極的に行う。

また、コロナ禍の回復後の賃金インフレによる人件費高騰や人材不足を配膳ロボットの活用によりコスト削減に努めるなどで、新型コロナウイルス感染症拡大以降で初めて半期で営業黒字に回復する。

さらに、全米最大級のショッピングモールを含め新規出店を加速、2023年第3四半期において、経常利益を黒字化させた。

《アジア》

2022年度は前半、台湾で新型コロナウイル感染症による影響で客数が減少したが、「ちびまる子ちゃん」や「クレヨンしんちゃん」などの人気アニメコラボキャンペーンが好評で、通期に渡り堅調な売上高で推移した。

2023年度は、「リラックマ」とのタイアップ企画や、「鬼滅の刃」のグッズを採用するなどのエンタメ企画を継続的に行い、”回転寿司本来の楽しさ”を海外でも提供し続けている。
同時に新規出店も継続、第3四半期は前年同期比で増収増益を達成している。

また、中国大陸で第1号店を2023年6月に開店。
7月以降は2号店、3号店を新規で出店。
10年で100店舗の出店を目標とする。

安全安心な日本食が人気のアジア圏において、業績をどこまで伸ばせるのか?
こちらも注目していきたい。

財務状況

総資産と自己資本額は増加しているが、自己資本比率と有利子負債倍率の関係上、負債の比率が上がっていることが予想できます。

だが、新型コロナウイルス感染症の影響が残るなか、原材料などの高騰という厳しい状況で、積極出店で投資を続けながら、営業CFは毎年黒字で本業では現金を残せています。

また、利益剰余金の減少が軽微で、自己資本比率も45%あるのでまだまだ余裕がある。

今後の巻き返しで自己資本比率を50%に戻したい

解説:キャシュフローとは?

会社概要(2022年10月)

⚪︎ 設立:1995年1月
⚪︎ 上場:2001年5月(東証P)
⚪︎ 資本金:2,005百万円
⚪︎ ROE:1.5%
⚪︎ 従業員数:連結 2,329名 単体 1,617名(平均年齢 31.3歳)
⚪︎ 平均年収:463万円
⚪︎ 競合他社:FOOD & LIFE COMPANIES(3563)→ スシロー
カッパ・クリエイト(7421)→ かっぱ寿司

事業内容:「すべての人へおいしさと楽しさを。」

⚪︎ 国内外で寿司を主力とする回転すしのチェーン店。

⚪︎ 全て直営で641店舗《国内453、米国51、台湾53、中国3》(2023年9月 時点)

⚪︎ 食が安全・安心でバランスのとれた食生活を取り戻す!という「食の戦前回帰」 を経営理念とする。

⚪︎ 経営理念のもと、四大添加物(化学調味料、人工甘味料、合成着色料、人工保存料)を主食材から完全に排除した商品を開発、提供する。

⚪︎ 安全・安心な食事環境を整えるため、 従業員と接することなく飲食できるセルフレジやセルフ会計を備えた「スマートくら寿司」や、抗菌寿司カバー「鮮度くん」で感染症の対策を進める。

⚪︎ 楽しく回転すしを堪能してもらうために、人気アニメや人気キャラクターとのコラボ企画を定期開催。「ビッくらポン!」などのアミューズメント機能にも力を注力している。

経営計画

《2024年10月期を最終年度とする中期経営計画を策定》
コロナ禍をいち早く乗り越え、国内事業を安定的な成長基軸に戻し、海外事業の拡大を積極的に進める。

⚪︎ 2024年10月期 目標値
・連結売上高:220,000百万円(2,200億円)
・連結経常利益率:5%以上(110億円 )
→ 2022年度実績は24.5億円
・海外売上比率:20%以上(440億円)
→ 2022年度実績は331億円

⚪︎ 出店戦略:出店地域の拡大、出店条件の厳格化、一層のコスト削減
目標値達成に向けて、
国内は、手薄であった都市部への出店を強化し、インバウンド需要の取り込みも狙う。
海外は、新規出店をシフトアップ(加速)する。

⚪︎ 顧客満足度の向上
「スマートくら寿司」「鮮度くん」での感染症対策のさらなる強化。
水産事業者との協力、養殖事業への参入と通じて食材の安定的・持続的な調達を行うことで高品質でリーズナブルな商品の提供競合他社との差別化を目指す。

自社の強み

  • 回転すし店としての知名度の高さ。
  • 添加物を排した食材を使用することや、感染症対策の施された店内など、安全・安心な食事を提供している。
  • 逆風に負けない積極的な事業展開。
  • 寿司とエンタメのコラボ企画で競合他社との差別化を図る。
  • 直営店経営でフランチャイズ展開の店舗と比べて、トップダウンの意思決定、実行ができる。(生鮮食材を扱う仕事は、意思決定も鮮度が重要)

自社の弱み

  • 業種が競争の激しい飲食産業であること。
  • 市場動向の影響(為替、インフレ)をダイレクトに受ける。
  • 人材を確保し続けないと企業成長が見込めない。
  • 食材の確保と鮮度管理が重要な、魚介類中心の生鮮食材を扱う業態である。

事業拡大の機会

  • 先進国を中心とした健康志向の高まりで、ヘルシーかつ安全安心な日本食のブーム。
  • グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国の今後の成長。
  • 原材料の高騰が収束した後の高収益化。
  • 回転すし店という業態を活用し、新たな事業を展開する。(寿司以外の回転飲食店。たとえば、回転中華・回転居酒屋・回転スイーツ店・回転定食屋など)

事業拡大の脅威

  • 食中毒の発生(飲食業者は最大の脅威)→ 専門部署や「鮮度くん」などで対応
  • 不適切食材の混入 → トレーサビリティ(生産履歴)管理や養殖事業を行う
  • 世界的な水産物の需要拡大による水産資源の減少および価格の上昇。
  • SNSなどインターネット上での悪質な風評の拡散による信用失墜の被害と損失。

今後の事業展開シナリオは?

《ポジティブシナリオ》

エネルギー価格や原材料価格の高騰や人件費上昇による商品価格への転嫁が成功(来客数や顧客満足度を下げずに価格転嫁が成功。)したことで、事業の高収益化と安定的な利益確保を達成。

その資金をもとに海外展開を加速し、既存のエリアとともに発展著しい新興国にも出店エリアを拡大
日本の ”安全・安心なおいしい” を新たな国やエリアに広めるとともに、さらなる収益化が可能となる。

その後、回転すしで培ったノウハウをもとに新規事業を開始。

回転すし事業と並ぶ、新たな柱の事業に育てていくとともに、日本の食文化を世界へ発信する企業に成長する。

《ネガティブシナリオ》

エネルギー価格や原材料価格など物価が高止まりし、利益を圧迫。

価格転嫁策が裏目に出て、競合他社に客が流れ、売上が低下。

水産資源の価格高も重なり、さらに利益を押し下げる。

苦肉の策で繰り出したキャンペーン企画も失敗に終わり、SNSを中心としたインターネット上での悪評が出回り、顧客離れが加速。

賃金を上げることができず、人材が流出し、人材不足。

新規の出店もできず、ジリジリと業績を下げていく。

どうにか利益を確保しようと、原材料価格を抑えた新商品を投入。その一部に不適切な食材が混入しており、重大な食中毒が発生。

売上とともに、信用も地に落ちていく。

今回の調査のまとめ

今回は回転すし大手の「くら寿司」を調査しました。

  • 業績は2020年以降、新型コロナウイルス感染症と原材料価格の高騰により低迷が続くが、積極的な事業展開により2023年10月期は、日本、北米、アジアともに回復の兆しが見え始める。
  • 財務面では、業績と同じく2020年以降、最終益で赤字を出す年度があり、自己資本比率を下げながらも、無借金経営をうたい文句に有利子負債倍率を低く抑え、底堅く推移
    営業キャッシュフローは毎年黒字で稼ぐ力はあり!
    今後は自己資本比率の回復に努める。
  • 経営計画も、2024年10月期の中期経営計画で強気の数字を策定し、国内外ともに業績の回復と今後の進展に自信を見せる。

新型コロナウイルス感染症以降、世界情勢の悪化によるエネルギー価格や原材料価格高騰、円安により利益面が圧迫され厳しい経営が続いています。

商品の品質、キャンペーン企画を行うなど競合他社との差別化による集客や、適正価格を採用することによる価格転嫁で企業努力を続け、直近の決算では、連続黒字化の兆しが見えてきています

しかし、売上高は右肩上がりで堅調なものの、利益面では2020年以前には遠く及ばないレベルです。

また、地球温暖化の影響で日本近海の漁獲内容も変化しているなか、世界的に水産物の需要が増加しており、今後はさらなる水産資源の価格上昇が見込まれています。

このような厳しい状況のなか、当社が積極経営で利益を上げていく姿と、日本食を世界への人々へ届ける姿を想像しながら、「くら寿司」と日本食の代表である「お寿司」の行く末を見守っていきたいと思います。

参考資料:「くら寿司」

※ 調査続行中。随時更新していきます。

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